「はい、測って」 体温計の電源を入れて渡すと、俯いたまま押し返してくる。 こりゃ、相当熱高いな。 「測ってほしいのね」 両手で陽の顔を包んで上げさせると、うっすら涙が溜まっていた。 「怒ってんの?」 聞けば陽は首を振って、嗚咽を上げて泣きじゃくる。 "病院行かない" そう泣きじゃくる陽を横目に、体温計が鳴るのを待つ。