リビングで仕事をしていたら、大きな物音が聞こえて顔を上げた。
寝室へ様子を見に行こうと立ち上がると、扉の前に陽の姿があった。
しゃがみこんで体を丸めている陽に近づくと、体を無理にでも起こして場所を移動しようとする。
「陽、おはよ」
肩に手を添えて声を掛けるけど、顔を背けて頷くだけ。
「体調どう?」
背けてしまう顔を覗き込むと、俯いて髪で顔を隠された。
「なに?目合わせてくれないの?」
頷きもしない陽の首元に手を触れれば、じんわり熱い体温が伝わってくる。
「機嫌悪いな、今日は」
体を持ち上げてソファまで運んだものの、目を瞑ったまま開かない。