「ごめんね、ちょっと体持ち上げるね」 一言断ってから蹲る体を抱え、ソファにゆっくりと下ろす。 「すみません…ッ」 辛そうな呼吸と咳を繰り返しながら、胸元の服をぎゅっと握りしめている。 「吸えますか?私が持ってますね」 何度も首を縦に振る陽さんが、すがりつくように吸入を吸い込んだ。 それを傍らで見守っていると、インターホンの音が鳴る。 「おっ」 内心遅いぞ、と思いつつ。 帰ってこれたことに、まずは安堵。