「ほら、目真っ赤」
ぼーっと遠くを見つめていた私の頬に手が添えられる。
「……あ」
『だって涙が溢れてくるから』
筋の通っていない言い訳すら口から出なくて、
声にならなかった。
「病院に行く前に測らせて?」
そう言われて見上げると、体温計を片手に港の手が伸びてくる。
「…っ!」
反射的に手を払うと、小さなため息と共に港が目の前にしゃがんだ。
「測らせて」
力の出ない今の自分じゃ、港に適うはずもなくて。
服のボタンが手際よく外されて、服の中に手を入れられる。
「熱上がってるな」
独り言のように呟く港の手が伸びてきて、首筋に当てられた。


