「何もわかってないくせに!」
「愛優!」
玄関に入ると、ただいま を言う間もなく、怒鳴る声が聞こえた。
何事かと慌ててリビングに入れば、言い合う2人を側で見守る夏来がいる。
「もう飲み終わったんだって」
「どうして嘘つくの?」
「いいでしょ別に、大したことじゃないのに」
「大したことじゃない?」
「続けてたってやめたって同じでしょ!?」
「同じじゃない!ちゃんと守って飲まなきゃいけないんだよ」
「薬ごときで何で怒られなきゃいけないの?」
「薬ごとき…」
側で見ていた夏来を抱き上げると、涙が溢れ出した。
怖かっただろうね。
「おい、二人とも落ち着けって」
興奮状態が収まらず、肩を上下に動かしながら息をする。
「私が薬を飲まなきゃいけないのも、お母さんの体が…」
「愛優!」