「わざわざ来てくれなくても…」



「文句が多い患者だな」



「っ患者じゃない…」



「患者だわ」



「もう治りました」



「そのお粥を食べてるうちは療養」



「…これは」




溜め息をつく様子を見ていると、苦笑いがこみ上げる。




「いらないの?朝から何も食べてない」



小さく首を振る季蛍の背中を擦り、手の中からスプーンを取る。




「少しずつ食べないと入院になる」



「わあ、それは大変だ」




わざとらしい高島の合いの手に、季蛍は不服そうに目を伏せた。




「一口でいいから」