「これ持ってって?」



「なんですか?」



「ケーキ、おいしいとこの」



「ケーキ?」



「今度ちゃんとお礼するから」



「いいですよ、そんなの。」



小箱の中を確認すると、にんまりと嬉しそうに笑う。



「好きなのばっかり」



「良かった、適当に選んだんだけど」



「4つあるなら2つは置いていきます」



「いや、いい」



「2つは多いです」



「奥さんと2つずつ食べて」



「2つは多いですよ」



「小さいから大丈夫」



「俺らを太らせたいんですか?」




冗談交じりに笑いながら、箱を閉じた。




「ありがとうございます、頂きます」