───小児科の待合室で順番を待っていると、大人しく椅子に腰をかける夏来が咳をし始めた。
片手で背中をさすってやると、下からゆっくりと俺を見上げる。
「…咳が出る」
「うん、お医者さんにお薬出してもらお」
「…パパじゃないの?」
「うん、別のお医者さんが夏来のこと診てくれるから。悪いところないかなー…って」
「……パパがいい」
「んー…でも今日お仕事午後からだからな」
「ママはいつもパパがもしもししてるのに?」
……よく見てるな。
「でもそれはおうちだからね。…あとママは夏来みたいに病院来ないんだもん」
「……」
クスクスと笑う夏来の方がよっぽど大人だったりして。
まず病院に来ない季蛍は何歳なんだ…と聞きたいものだ。