目が覚めたあと、瞬時に上半身を起こした。
ベッドサイドの洗面器に手を伸ばし、身構える。
幸い出るものは何もなかったが、込み上げる吐き気が不快感を強めた。
「始まった?」
声に驚いて顔を向けると、反対側のベッドサイドに高島先生が座っていた。
窓際の机にパソコンとコーヒーカップが見える。
てっきりリビングにいるものだと思っていたので、つい驚いて体が固まった。
「出せるなら出しちゃいな」
首振りの抵抗も虚しく、お腹の奥底から込み上げるもの。
絶対吐かないんだから…
「我慢しないの」
「してない…ッ」
「じゃあ唇噛まない」
「…」
「持ってるから」
手袋をした手が洗面器を掴み、背中を擦られる。
「熱…」
背中を擦る手が一瞬首筋に触れ、そう呟いたのが聞こえた。


