背中に聴診器を当てながら、眉を寄せる。
「いいよ、大丈夫」
「顔 怖い…」
「はは、怖かった?無意識」
そう言って笑うと、毛布を元に戻してくれた。
「薬、飲めそ?」
「うーん…無理かも」
「吐いてはないんだよね?」
「吐いてはないです…気持ちが悪いだけ」
「とりあえず様子見がいいか」
「たぶん、治る気がする…」
「…」
「寝てたら…」
「何を根拠に」
至って真剣だったが、そんな気がしただけだった。
なんの根拠もない。
「私一人で大丈夫だったのに…」
「よく言うよ」
「先生一人つきっきりは大げさです…」
「ま、それはこれからわかることなんで」
毛布を首元まで引き上げられ、おとなしく横たわる。
「いつでも呼んで」
「…はい、ありがとうございます」