されるがままに体温計が脇に挟まれた。




「しばらくは辛そうだな」



「…ッゲホゲホ」




とてつもなく楽になる瞬間があるのに、呼吸を繰り返すうちに再び吐き気が訪れる。




「今日休みなんですか?」



「一応出勤日。まあ、訪問診療みたいなもんだし」



マスク越しでもわかる苦笑いを浮かべた高島先生は、鳴った体温計を取り出した。



「熱高いねえ」



首に掛けていた聴診器に手をかけると、ぺろんと毛布を剥いだ。



「手だけいい?」



「…」



「だめ?一瞬」



「いいです…」