出るものもなく、水を飲ませて寝室へ。



「港がね?この間のお礼だってマフィンくれたよ」



「…港くんが?」



「季蛍が好きなとこの。食べられそうだったら食べて」



「…わかった、お礼言いたいな」



「伝えとくよ」



「ん…ありがと」




首筋に当てた手が、熱い体温を感じ取る。


解熱剤はあくまでも一時的…





「寝れる?」


「…わかんない」


「ここに袋置いとくから。あと水も」


「ありがと…も、大丈夫」



話すのがつらいというような顔をした。


毛布に潜り込み、息遣いだけが聞こえる。



「リビングにいるから」