魅惑の純情泥棒



思わずその告白を受けていた。そして人生初の彼氏が出来た。

その後もいちいち反応が可愛くて、その度いちいち悶えてる。

時々突拍子もなく目を逸らされたり避けられたりでちょっぴり不安になるときもあるけれど、こうして向かいあってポロポロと言葉を交わせば、彼からどうしようもなく溢れる「スキ」で気持ちが埋め尽くされて不安なんてすぐ吹き飛んじゃって、もうグズグズに目元が緩んでしまう。


体育座りをしたままニコニコして、一向に行動を起こさない和穂を不審に思い、誠太はそろそろと顔を上げた。


おや?と、和穂は頬を緩める。

ちょっとだけ、警戒が取れたかな?


まるで野生のジャッカルでも相手にしているような気分だ。


今度は、跳ね除ける隙も作らず、ササッと彼の手を取ってみる。

びっくりしたように目を見張る誠太には構わず、和穂はスッと距離を詰め、コツンとおデコをくっつけると、ニッコリ笑って見せた。

カツンと眼鏡のフレームが彼の皮膚に触れ合う。

手から伝わる脈が早くなった。

ドキドキがうつって、こちら側も少し内臓が大変な事になってる。

小さな心臓があちこちにいくつも生成され、誠太という存在を改めて確認するたびに体全体から波打っているような、とにかく大変な騒ぎだ。



でも、女も時に度胸。



ゆっくり歩くのも大切だけど、時折ある段差には勢いを付けてジャンプしてみる事も大事。