魅惑の純情泥棒



付き合い始めて早一年。


キスするんじゃないかと思った場面はそりゃあ何度かあった。


時期外れの花火大会の、最後の一発が終わった薄暗い芝生の上だったり、


ハロウィーンのクラスパーティーで大はしゃぎした後の、二人で帰った時だったり、


なんでもない、放課後だったり、


友人達とのクリスマスで、飲み物を取りに行ったらたまたまキッチンに二人になった時だったり、


初詣を一生懸命寝ないで一緒に行った時だったり、

テスト勉強で誠太の家にお邪魔した時だったり、

新しいクラスで、離れ離れになってしまって思わず泣いてしまい、誠太が珍しく慰めてくれた時だって、


その他ほんっとに色々と、いい感じのタイミングはあった!と和穂は握り拳を作る。



いい加減、キスがしたい。


誠太と初キスがしたい!



だから前回、和穂は多少強引に事を進めようと頑張ってみた訳だったのだ。

誠太に勉強を教えるという名目の元。

二人っきりになり。

隣に並んで。

そのいつも怒っている、思い焦がれた唇に触れようと。

した訳なんだけども。