こぽこぽとお茶が注がれる音がする。

誰が見ても引きこもりの部屋だなんて思わないような、明るくて清潔感ある涼しげな部屋は私の部屋よりも綺麗だと思った。

「はい。」

コトンとお茶が注がれた綺麗なカップを丸いテーブルに置く。

そして可愛らしいクッキーを持ってきてくれた。

「ちょうどお茶にしようと思ってたんだよ。ついでだから誘ったんだけど・・・もしかして嫌だったかな?」

首をかしげて聞いてくる姿に少しドキッとして、「い、いえ!むしろ大歓迎です!」などと口走ってしまう。

「なに慌ててるんだい?」

少し笑ってたずねる姿はすごく格好いいと思う。

引きこもりだけど。

「いえ・・・・」

私も少し笑い返してお茶を飲む。

昨日はあんなふうに思ったけど・・・この人、そんなに悪い人じゃないや。変だけど。

どうしても変な人というイメージだけは取り除けない。

クッキーを一つ摘まんで口に入れる。

ふんわりとした甘さが口の中に広がった。

「おいし・・・」

「そうかい?良かった。作りがいがあるね。」

「え、これ羽野さんが作ったんですか!?」

クッキーを噴出しそうになりながら訪ねる。

「あぁ、そうだよ?僕は学校に行かないから暇だし。」

「あ・・・ごめんなさい」

「別にいいよ。僕が好きで行かないんだから。」

悪いこと言ったかもしれないな・・・

なのに笑う羽野さんは優しい人のはずだ。

御言葉に甘えて、とまたお茶を飲む。

「そういえば、クッキーがこんなにおいしいってことは他にもなにか作れるんですか?」
ふと思いついたことを口に出す。

「そうだね・・・料理は得意だよ。」

男の人なのにすごいや・・・・

私、全然料理できないんですけど。

「羨ましいですねぇ~私なんて全然料理できないんですよー。だからいつもコンビに弁当とかなんですもん。」

「体に悪いね。太るよ?」

「うっ・・・・・・・・・・・・・・・」

痛いところ突いてくるなぁ、もう。

「いっ・・・いいんですっ!私、太らない体質なんでっ!」

嘘です。

実際に大学入ってから五キロ増えました。

すいません。