「ありがとうございました。また、しほを可愛がって下さいね。」

『ありがとう。また、会いに来るよ。頑張って。』

「では、失礼します。」

そんな会話も
マニュアルの様に済んで
またコツコツと
廊下に自分の足音のみが
ただ虚しく鳴り響いた。

わたしはいくら?

あなたが払った
金額のうちいくらが
正当な値段何だろう?

自分でも分かる。
ちっぽけで惨めで
いくら稼ごうと
埋まるもんなんて
何一つ無かった。

ただわたしに支払われた
その値段こそが
わたしの値段なんだって。

それ以上でも
それ以下でもなく
提示された金額こそ
わたしが生きていける
値段なんだ。