「あぁ……。そういえば、そんな事言ってたね」


萌実や他の女の子達ほど、その阿部くんに興味が無かった私。


「……あっ、私、その阿部くんの隣みたい」


だけど、黒板に貼ってある座席表を見ると、私はその阿部くんと隣だった。


「いいなぁ……、あっ!私、奈緒ちゃんの後ろだ!!やったぁー!また、今年もよろしくね!」


私の言葉に黒板に貼ってある座席表を見た萌実は、嬉しそうな笑顔で私を見る。

私も萌実と同じクラスなだけでなく、席も前後だった事が嬉しくて、二人して喜んでいた。


「席に着けー」


そう言いながら、教室に担任の先生が入って来る。

私達は急いで決められた席に向かう。


「俺、東小の阿部悠也。よろしく!」


私が席に着いた瞬間、左隣の席の阿部くんは、人懐っこそうな笑顔を見せる。


「あっ、私、第三小の有沢奈緒。よろしくね!」


私も笑顔で自己紹介をする。


クラスの女の子や他のクラスの女の子は阿部くんの事を“カッコイイ”と騒いでいる子が多かったけど、初めて阿部くんを見た私は

“カッコイイというより、可愛い感じの男の子だなぁ”

と、そんな風に思っただけだった。