ずっと好きだったんだよ

「他に気になる事はない?」


黙ったままの私を悠也は見つめる。


「……どうして、今も大切に持ってるの?」

「大切に持っていたつもりはないんだけど……。まぁ、あの頃は捨てるに捨てれなくて。そのままにしていた事を忘れていたんだ。で、引越しの準備をしていたら出てきて。あの場で捨てたら、奈緒が“何だろう”って気にするかなって思って、とりあえず片付けたんだけど。でも、余計に不安にさせてしまったよな」


そう言って、悠也は私の頭をポンポンと優しく撫でる。


えっと、じゃぁ……


「今も栞の事が忘れられなくて、捨てれなかったってわけじゃないの?」

「あぁ、持っていた事すら忘れていたよ」


綺那の言っていた通り、ただ処分をするのを忘れていただけだったんだ。


「今はどうしたの?」


はっきり“捨てて”と言えたらいいのだろうけど、言えない私はズルいと思う。

言わないけど、悠也に栞へのプレゼントを持っていてほしくないと思っている。

そして、それを言わずに私は雰囲気で、悠也から“捨てる”と言わそうとしているのだから。


「あの後、引っ越しの準備をしてる時に捨てたよ」


その言葉を聞いて私はホッとした。