ずっと好きだったんだよ

「奈緒?」


考え事をしていると、ドアの向こうから、悠也の声が聞こえた。


「何?」


私は、無意識に刺々しい言い方になってしまう。


「怒ってる?」

「別に……」


怒っているわけではない。

ただ、いい気がしないだけ。


「ごめんな」

「だから、何で悠也が謝るの?」


悠也は悪くない。

悠也にバレンタインのチョコを渡した人も悪くない。

勝手に紙袋の中を見て、しかも、メッセージカードまで見ちゃった私が悪いんだから。


「いや……。だって、あんなの見たら、奈緒、いい気しないだろ?」


まぁ、そうだけど……

でも、悠也に謝られても仕方がない。


「ちゃんと断るから」


いや、それは当たり前だし!


「なぁ、奈緒……。機嫌直せよ……」


ずっと黙っていた私。

だから、悠也は私の機嫌が悪いと思ったみたいだ。

私が勝手に見て、勝手に不安になっているだけなのに。


「悠也……」

「何?」

「私、あがりたいんだけど……」

「あっ!ごめん!!」


悠也はバタバタっと、慌てて部屋に戻って行った。