悠也と付き合うようになってから、初めてのバレンタイン。

友達だった私達。

だから、中学1年から高校3年まで悠也にチョコはあげていた。

それはもちろん義理チョコとして。

本当の気持ちを言えば、“本命”だったけど、そんな事言えるわけないし……



バレンタインの数日前――…

綺那と休みが合ったから、ランチと買い物に行く事にした。

そして、毎年、自分チョコを買っている私達。

今年も「これ、美味しそう!」と、いろんなチョコを試食しながら、自分チョコを探していた。


「私、今年はこの抹茶の生チョコにしようかなー」


綺那はショーケースに飾られているチョコを、目を輝かせながら見ていた。


「この抹茶は食べられたけど、私、抹茶苦手だからなぁー。どれにしようかなぁ」


私もショーケースの中のチョコを見ながら迷っていた。


「ってか……。奈緒、さっきから自分のチョコばっかり見ているけど、悠也のチョコはどうするの?」

「そうなんだよねぇ。どんなチョコ、あげようかな……」


とりあえず、プレゼントは買ってある。

後は、チョコだ。


目の前のショーケースを見ながら、自分チョコを迷いつつ、悠也にあげるチョコも探す。


「ねぇ、悠也のチョコ、作ったら?」

「えっ?」

「いいじゃん!今まで手作りチョコってあげた事ないでしょ?」

「ないけど……」


学生の頃は“義理”だからってわけだけじゃないけど、いつも買ったチョコをあげていた。