悠也の答えはわかっていた。

だから、悠也にフラれる事も当然わかっている。

私にフラれる覚悟がなかったから、あの時、悠也に「言わないで」って言ったのだから。


「私こそ、ごめんね?ヘンな事、言って……」


私は涙を拭って、平気なフリをする。


「いや、ヘンな事じゃないよ。奈緒の気持ちは嬉しかったよ……」


そして、私達の間に沈黙が流れる。

その空気に耐えられなくなった私は


「ごめんね。もう、悠也を困らすような事は言わないから!だからさ……、これからも友達でいようね!」


そう言って、私は笑顔を作り、


「ここでいいよ。じゃぁね、バイバイ」


私は悠也を置いて、その場から走って逃げた。



悠也の前でちゃんと笑えたかな?

でも、もういいよね?

もう、我慢しなくてもいいよね?


そう思うと、さっきこらえた涙が溢れてきた。


いくら私が悠也を好きでも、悠也にとって私は友達。

今すぐには無理でも、今度はちゃんと悠也の事を忘れる努力をしよう。

この気持ちを思い出にして、今度こそ、前に進まなきゃ……