「いないよ」

「なら、いいじゃん!」


私は悠也の答えにホッとしながら、悠也の腕にぎゅっと抱き付いた。


「だから、よくないって」


必要以上にくっついてくる私に呆れながら、悠也は私を離そうとする。

陽輝は隣で、そんな私達を笑いながら見ていた。


そんな事をしながら歩いていると、二次会の会場であるカラオケ店が見えた。

すると、そのお店の前に栞が立っていた。

私は栞を見付けた瞬間、無意識に悠也から腕を離す。


「栞、どうしたの?みんなは?」

「うん、みんなは先に入っているよ」


私にそう答えた後、栞は悠也の事をチラッと見る。

そして、栞は俯き、


「悠也……。ちょっといいかな……?」


そう言った。

そんな栞の態度を見て、私は気付いていしまった。


栞は今でも、悠也の事が好き?


「じゃぁ、俺ら先に行ってるな」


陽輝はそう言って、動けないでいる私の腕を引っ張って、カラオケ店に入る。