10月にご飯を食べに行って以来、綺那とはたまに連絡を取って会ったりしていた。

だけど、悠也達とは連絡すら取っていない。

特に悠也から連絡がくるわけでもなく、私から連絡する事もなく……

でも、それでいいんだ。

だって、私は櫂の事だけを見るんだから。


私と櫂は、それなりに上手くいっていたと思う。

喧嘩だってした事はないし、本当に仲が良かった。

だから、私は櫂とこのままずっと一緒にいるんだと思っていた。


だけど……


やっぱり、私は悠也の事を忘れられないでいた。

櫂はよくポンポンと私の頭を撫でる。

そう、それは悠也が昔からよく私にしていたみたいに……


私は前に一度、聞いた事があるんだ。

それは、櫂の部屋でゆっくりしている時の事。

その時も、ポンポンと櫂に頭を撫でられていた。


「ねぇ、それ癖?」

「何が?」

「その……、頭をポンポンってするの……」

「ん?……あぁ、癖なのかな?ごめん、奈緒、嫌だった?」

「う、ううん。嫌ってわけじゃないんだけど……」


そう言いながら、私はどう答えるか迷った。