それでも、部活の時とか悠也と話していると、絶対に伊原さんが間に割って入って来る。

私は“友達”って言ったのに。

私と悠也は同じクラスだし、仲良いし、私から話し掛けなくても、悠也から話し掛けてくる事だってある。

それでも悠也と仲良く喋っていると、会話に入って来たり、悠也には気付かれない様に私の事を睨んでくる。


「伊原さん、可愛いんだけどねぇ。あの性格じゃぁね……。でも、男子にはあの性格バレてないでんしょう?悠也も伊原さんに告白されたら、喜んで付き合うのかな?」


伊原さんに“友達”だと言ったのは私だけど。

それに、悠也と付き合いたいと思っているかと聞かれれば、まだよくわからないけど。

だけど、悠也と伊原さんが二人で仲良く歩く姿を想像すると、私は悲しい気持ちになる。


「悠也は顔で選ぶような人じゃないでしょ。っていうか、絶対、あの性格はバレるよ。あっ、悠也はわかってるかもよ?バカな男共は気付いてないだろうけど」


勝手に想像してへこんでいる私を萌実は笑顔で元気付けようとしてくれる。


あれだけみんなに宣言して、悠也と話している女の子がいると邪魔をしたりしている伊原さんだけど、伊原さんが悠也に告白する事はなかった。

そして、私も気まずくなるのが怖くて、悠也に気持ちを伝える事はなかった――…