「ゆ、悠也……。帰ろう?」


声のした方を見ると、真っ赤な顔をした栞が、いつの間にか私達のそばに立っていた。


「あぁ」


悠也は栞を見て返事をし、


「じゃぁな!」


と、私達に幸せそうな笑顔を見せ、鞄を持って栞のそばへ行く。


はぁ……


悠也の幸せそうな顔を見る度に、私の胸は痛くなる。

心がすごく苦しくなるんだ。


早く慣れなきゃ……

……って、えっ?な、何?


視線を感じて、その感じた方に視線を向けると、何故か栞は私をじっと見ていた。

その顔は、なんか辛そうというか、苦しい表情というか……


「栞?」


悠也に呼ばれて


「ご、ごめん。帰ろう!」


栞は悠也の隣に並び、二人で教室を出て行った。


何?

何で、栞がそんな顔をしているの?


私は二人が帰って行った方をじっと見つめていた。


「奈緒、大丈夫?」

「えっ?」


綺那を見ると、すごく心配そうな表情で私を見ていた。

そして、陽輝も……


「大丈夫だよ!」


私は出来るだけ笑って答えた。


「ごめんね、心配ばかりかけて」


いつまでもこんなんじゃ、二人に心配をかけ続けてしまう。

早く……

早く諦めないと。