野球部の声を聞きながら、走り回るサッカー部を眺める。
眺めるだけで十分。
そこに彼はいないのだから。
彼がいないのだから、見る意味なんてない。
彼が、いないのだから…
ガラガラッ
静かな教室に響くドアの音。
無意識に早まる胸の鼓動。
それに合わせるように足音が近づいてきて、ちょうど私の横でピタッと止まった。
振り返りたい。
振り返って確かめたい。
そう思うのに体が動かない。
体が完全に固まっていて、どうすることもできなくて。
そこにいるのが、彼なら…
今井クンならいいのに。
そう願いながら、勇気を振り絞るように、ギュッと強く目を瞑って…
ゆっくりと…
ゆっくりと。
後ろを振り返り
一度閉じた目を慎重に開いた。

