小さくて、柔らかい、温かい手。
約この1年間俺はこの手を握っていた。
けどもう握ることは出来ない。
俺の隣でニコニコしながら手を握っている雛那ちゃんがこの後、泣くことになるだなんて…
「卒業式行きたくない」
また雛那ちゃんはそんな事を言い出して…
俺だって本音を言えば行かせたくない。
ずっと俺の隣にいてほしい。
―――――連れていきたい。
けどそれは出来ない。
俺のためにも、雛那ちゃんの為にもそれは良くない事。
だから俺は言うんだ。
「ダーメ。ちゃんと卒業式に出なさい。
卒業式の後、俺の部屋においで」
この時には俺はいない。
「誕生日プレゼント、用意してあるから」
雛那ちゃんへの誕生日プレゼントは俺とお揃いカップと俺の淹れた最後のミルクティー。



