サクラノシタ


ーーーーー・・・ねぇ、知ってる?
桜の木の下にはね、死体が埋まっているのよ。

小さい頃、誰に言われたか忘れたが
何となく覚えている昔話、噂話、都市伝説の類が不思議とある。

それは、大きくなった今でも
なぜだか忘れることなく、ふとした瞬間に
思い出したりする。

『桜の木の下には死体が埋まっている』
この話もそのひとつだ。

桜の花の淡いピンクの色は
木の下に埋まっている死体の血を啜って
色がついているのだ、と。

高校生になった今でこそ
『馬鹿らしい』と思えるが、小さい頃は
根拠もなく信じていて桜の木が怖かった。
春になると咲く満開の桜を見て
『綺麗だ』と『お花見だ』と騒ぎたてる
大人たちを見て不気味に思ったものだ。

今は無論、そんなことはない。
お花見は友達と盛り上がる
ひとつのイベントになっている。

思えば、小さい頃はそうだった。
なんの根拠もなく大人たちのいうことを
信じていた。
それが、『絶対』で『正しく』て
『信じていいモノ』だとなんの疑いもなく思っていた。

大人たちは皆、正しいことしかしないと
思っていた。

ーー・・・決してそうではないのだと
気づくまで、そう時間はかからなかった。