~柚羽side~

別れを告げたのは私だった。

直音君を嫌いになったわけじゃない。
恨んでるわけでもない。
ただ。

私を見る直音君の目が、辛そうで、苦しそうで、泣きそうで。
見てられなかった。
私といたら、直音君はずっと苦しむ。
そんなの、ダメだよ。


だから直音君は、私を忘れて。
前に進んで。


「直音君なんか嫌い。」


私の精一杯の嘘に気付かないで。


「大嫌い。」


これは、私からのエール。
ゆっくりと閉まるドアに向かって、呟く。










「ありがとう…。



















さよなら。」













私はずっと、
あなたを思っているから。