ちょうど私の高さまでの灰色の四角い塔が、たくさん、きちんとならんでいます。
真由の持っていた白い菊の周りを包むビニールがかさかさ。
「もう2年かぁ・・・・」
しみじみと真由は言います。
私はゆっくりと、頬の筋肉をあげながら微笑みました。
真由はヒールでコツコツと。
私はパンプスでペタペタ。
一つの大きな石の前へ向かいます。
「天羽家之墓」
私が命と変えても書けない様な達筆な字で、
そう彫られている四角い石。
「今日も、来たよ」
そういって、私はそっと石に手をのばします。
真由は黙って、花を切りそろえています。
「私、元気ですよ。優も、元気ですか?」
ただただ。小さくなった昴の入った石に語りかけます。
ピルルルルル・・・・
ピルルルルル・・・・
電話です。
はいはい・・ちょっと待ってくださいね。
ぴッ
「はい、もしもし」
真由が、じっとこちらを見ているので、なんだかもぞもぞです。
「あ、今優のところにいます」
へへへ、と不気味に笑い、真由に振り返ると、
「・・・来(させ)ないでよ」
と眉を顰めました。真由だけに。
・・・・・ごめんなさい。
「昴くん。今来ない方が・・・身の為ですね」
本気で。
昴くんは少しシュンとしてじゃあ、といって電話を切りました。