楓くんが連れてきてくれたのは、賑わう砂浜から離れた、ゴツゴツした岩場の上。
手を離された私はそこに腰を下ろし、海を眺める。
「ありがとう、楓くん」
「別に」
相変わらずそっけない態度に私は笑う。
そんな態度でも、守ってくれるんだ。
「楓くんって、優しいね」
「はあ?」
「優しいよ」
私は、楓くんに救われてる。
KAEDEにも、楓くんにも。
助けられてばかりだ。
「梨乃ー!」
「あ、まひろ!亘!」
追いついてきたまひろたちに手を振る。
「ごめんね、やっぱりちょっと怖くなって」
「ううん。大丈夫?」
「うん」
まひろたちも側に座る。
「まひろたち、私に付き合ってくれなくてもいいよ?」
「ん?いいよ、私は梨乃と楽しむために来たんだから」
「そうだぜ。気にすんな!」
2人の優しさに笑った。
嬉しい。
私のこと、見捨てないでいてくれる。
ほんと、大好き。


