「強がんなよ。声、震えてるぞ」
「う・・・」
見透かすような視線が注がれる。
ドキッと胸が鳴る。
確かに、男の人が側に通るだけでビクビクしてしまう。
横を通る度、ビクッとする私を楓くんが呆れたように見る。
「はー」
楓くんのため息が聞こえる。
ううっ、こんなんじゃだめなのに。
やっぱり、どうしてか楓くん以外の男の人は怖い。
楓くんは私の腕を掴むと自分の背中の後ろに私を隠した。
「あ、あの、楓くん・・・?」
「人の少ないとこに行くまで、そうやって隠れてろ」
楓くんはそう言うと、歩く速度を速めた。
顔が、熱くなるのを感じる。
守って、くれたの・・・?
「え、あ、梨乃!?」
まひろたちも追い越してずんずん進んでいく。
戸惑いながら目の前の楓くんの背中ばかり見ていた。