慌てて楓くんが歩いて行ってしまった方に走っていく。
どこに行ったんだろう。
仕事だと言ってたけど、なんの仕事をしているかなんて知らない。
確かこっちの方に・・・。
「・・・あ!」
とある建物に向かって歩いている楓くんを見つけた。
私は慌てて追いかける。
「楓く・・・っ!」
声をかけようとした時、建物の1階から出てきた人が楓くんに向かって声をかけた。
「楓くん、ごめんね。今日の場所控室が側になくって、ここからの出発になるんだ」
「いや、別に平気」
「よかった。じゃあ、さっそく中で準備しよう」
そう言いながら二人は建物の1階に入っていってしまった。
声をかけるタイミングを失ってしまった・・・。
どうしよう・・・。
手元の携帯電話に視線を落とす。


