それから、私たちはいろんなお店を渡り歩いた。
お店の中にはほとんど女の人しかいないし、私も楽しむことができた。
それに付き合わせてしまっている亘には申し訳なかったけど。
「お待たせ!」
「おー、またたくさん買ったな」
「もーお小遣い尽きそう」
両手に下がった紙袋。
それが幸せの重みに思える。
私が一歩踏み出せた証。
「どっかカフェ行ってお茶しよー!」
「わあ!いいね!」
「へいへい」
まひろの提案に、胸が高鳴る。
気持ちが上がっている時は、怖い思いも封じれている気がした。
カフェへ向かい歩いている途中、視線の先に見知った姿を見つけた。
・・・あれは。
楓くんだ。
楓くんが一人で歩いているのが見えた。