ああ、私。 楓くんの事が、好きだったんだ。 「・・・俺は、誰も好きにならない」 楓くんから発せられた言葉は、酷く冷たいものだった。 どこかで、感じたことのある冷たさ。 どこだっただろうか。 「お前の事も、他の奴の事も。誰も」 「なん、で・・・」 眉を顰め、楓くんを見た。 力を込めていないと、泣きそうで。 「俺は、誰も信用しない」 冷たく履き捨てられる言葉に、私は言葉を失った。