「・・・俺も、相当おかしいらしい」

「え?」

「あんたといると、俺らしくない」




俺らしくない?
楓くんらしいって、なんだろう。


私は首をかしげる。
楓くんの手が、そっと離れた。

名残惜しい。
そんな気持ちすら、私には戸惑って。




「今の、楓くんが、楓くんらしくないのなら。私、楓くんらしくない楓くん、好きです!」

「・・・」

「だ、だからって、楓くんらしい楓くんも、きっと好きで、・・・あの、あれ?なに言って・・・」




楓くんは私の言葉に目を見開いて。
なにも言わないから、私は空回りして訳も分からないことを口走る。


好きって・・・。
まるで告白だ。


好き。
好き・・・?
私が、楓くんを・・・。



ストンと、落ちた気がした。
わからなかった気持ちが、あるべき場所に落ち着いた感じ。