楓くんが身体をこちらに向け真剣な眼差しで私を見る。
顔をあげ、楓くんと視線を合わせると、そのまなざしに身体が火照る。

ああ、また謎のドキドキが。



「・・・うん」



どうして頷いてしまったんだろう。
楓くんの手が、そっと、伺うように伸びてくる。
ドキドキと高鳴る鼓動。
でも、いつもの恐怖心じゃない。


違う、胸の高鳴り――――。




「っ」




楓くんの手が、私の頬に触れる。
ピクッと震わせ、目を閉じた。




「怖い?」




そう問われ、私は首を横に振った。
怖く、ない。

怖くない、けど。




「震えてる」




でも、それは恐怖じゃない。
なら、なに?