「おはよ」

「おはよう、まひろ」



私はまひろに笑いかけた後空を見上げた。
空を見上げないと撮れない写真。

そして、空を撮らない楓くん。


空を見上げるのが、苦手なんだろうか。


どこか、儚い雰囲気を感じる楓くんの写真。




「梨乃、なんかいいことでもあった?」

「え?なんで?」

「ん?なんか、いい顔してるから」




まひろが私の顔を覗き込む。
私は戸惑って視線を反らした。

一瞬、楓くんの顔が浮かんだのだ。




「別に、なにもないよ」

「ふぅん?」



不服そうに唇を尖らせながら私を見る。
だって言えないよ。
楓くんの事なんて。