静かな時が流れたその時、携帯の着信音が鳴った。
楓くんは小さく舌打ちをして携帯を取り出した。
し、舌打ち・・・。
「・・・じゃ、俺行くから」
「う、うん。じゃあね」
私はアルバムを閉じて差し出した。
楓くんはじっとそのアルバムを見つめる。
「・・・お前にやる」
「えっ?これを・・・?でも」
「・・・じゃあな」
楓くんはそのまま公園を出て行ってしまった。
私は慌てて追いかける。
こんなもの、もらえないよ。
「かえ・・・っ」
公園のすぐそばの道路で、楓くんを見つけた。
楓くんは黒い車に乗り込むところだった。


