「なんで?」
「空は、上を向かないと撮れないだろ」
「・・・そうだけど」
そう言う彼は、少し寂しげだった。
私は虹の写真に目を向ける。
「じゃあ、これは?」
「・・・さあ?」
「さあって・・・」
私には、話したくないってことかな。
距離を感じる。
隣に座っているのに、ものすごく遠く感じる。
「あんたってさ、本当はもっと喋るんだろ?」
「え・・・?」
「・・・あ、いや。なんでもない」
なんだろう、この気まずさ。
ぎこちないというか。
男の人とこんな風に二人で話すことなんて、あれからなかったし。
どんな話をすればいいんだろう。


