「写真、見たかったら見れば」

「え?」

「・・・見たいって言ってただろ」




彼が指差した先には、ベンチの上に置いてある一冊のアルバム。
私は、チラチラと彼を見ながらそのベンチに座ってアルバムを開いた。
わざわざ持ってきてくれたんだろうか。

・・・まさか、そんなわけないよね。


そんなことを思いながらぺらっとアルバムをめくる。



街。
海。

道端を歩く猫。
花。




どれも、綺麗で、どこか儚い写真。




「素敵・・・」

「なにが」

「綺麗な、写真」



私がそう言うと、彼は顔をそむけた。
心なしか、耳が赤い気がした。