「・・・なにしてんの」



不機嫌そうな声が後ろから聞こえる。
ビクッと肩を震わせて、振り返ると、彼がこっちを見ていた。



「あ・・・」

「あんたって、なんで俺に対してそんなビクビクしてんの?」




眉を顰めた瞳が、私を射るように見つめる。
心拍数が上がり、冷や汗が流れる。




「・・・別にどうでもいいけど」



履き捨てるように言われた言葉。
視線が私から外れる。
少しだけホッとする。

敵意というか、責めるような視線は苦手だ。
辛い過去を引き起こさせるから。




「・・・べ、別に、あなたに対して・・・ってわけじゃ」



なにを言い訳しているんだろう。
彼になにを言ったところで、関係ないのに。