もっと早くに気づいてくれていれば。
きっと、こんな風にはならなかった。
もっと早く。
｢あなたの事を、ずっと恨んできました。ずっと自分は不幸で、誰も信じられるものなんてないと思って生きてきた｣
｢・・・っ｣
｢でも、今の俺には。親のように俺の事を心配して、護ってくれる人がいる。俺の事を支えてくれようと励ましてくれる人がいる。もう、一人じゃないと気付いたんです｣
楓くんが、ぶれない声で語る。
想いを。
その想いのすべてを。
｢俺には、もう、俺を認めてくれる家族がいる。俺に、あなたは必要ありません｣
それが、答え。
｢だから、あなたも、俺の事は忘れて。幸せに、なって｣
楓くんの瞳から、一筋だけ涙が流れた。
