「楓くん、大丈夫?」

「・・・ああ」



私たちは、楓くんと共に、お母さんが待っているところにまでやってきた。
迎えに行き事情を説明すると、戸惑いながらも合う決意を固めた楓くんはいつもの格好に戻りやってきた。


この扉の向こうに、お母さんがいる。
郁美さんにより、あの人が、本当のお母さんであることは確認されている。

ゆっくりと、ドアノブにかけられた手が扉を開いていく。




中にはいると、会議机の端にこの間見た女性が座っていた。
私たちが中にはいると、その人はガタガタッと音を立てて立ち上がった。



「あ・・・ああっ・・・」




口を抑え、泣き出す女性。
その手はガクガクと震え、顔は青ざめていた。




「ごめ・・・ごめんなさいっ・・・ごめんなさいっ・・・・」




その場に泣き崩れた女性は、土下座の格好になり、頭を下げ続けた。
楓くんを見上げると、戸惑いに瞳を揺らしている。