君と私の秘密の恋




「じゃあ、少し・・・」

「ん」



ぶっきら棒な声。
まったく、私に興味なんてないような声だ。



だからだろうか。
恐怖心は、いつの間にかなくなってた。



変だ。
初対面で、こんなにすぐに恐怖心がなくなるなんて。



初めて。



それでも近づくのは怖くて、私は少し離れた場所で、写真を撮る男の人をじっと眺めていた。
あまりよく見ていなかったけど、とても綺麗な顔をした人だった。


中世的な顔というのだろうか、優しい二重の瞳に、緩やかに上がる眉。
少し薄い唇は、固く閉ざされている。



その人は数枚カシャカシャと写真を撮ると満足そうにカメラを下ろした。




その様子を、飽きもせず見つめてしまう。
写真が、好きなんだろうな。

とても、優しい表情をしていた。