「ちょ、ちょっと?」 男が、私に向かって手を伸ばしてくる。 「おい」 低く鋭い声が響く。 私の身体に影がかかった。 「なにしてんだ、てめぇら」 「な、なんだよ、男連れかよ・・・」 「なんもしてねぇよ!そいつが勝手に!」 「消え失せろ」 「な、なんだよ!被害者面してんじゃねぇよ!」 「行こうぜ!」 悪態をついて男たちの足音が遠ざかっていく。 私は体を震わせたまま、顔も上げられずにいた。 「・・・おい、大丈夫か」 聞こえてきた声は、ぶっきら棒だけどどこか優しくて。