そして二人は駅に着く。
「ねぇ?紺野くんって、どんな音楽聞くの?」
「うーん…ロックとか?」
「私…ロック聞かないから持ってないんだけど?」
理沙の言葉に紺野が立ち止まる。
「……悪い、余計な気使ったか?」
すると理沙は紺野の斜め後ろに立ち、シャツの袖を少しつまんで口にした。
「ううん……ありがとう」
「……ん、ならいーけど」
すっ…と手を離し、理沙が笑顔で紺野の顔を覗き込む。
「ねぇ、せっかくだからそのロック聞いてみようかな?」
「……えっ!?」
「ん?」
「それ…マジで言ってる?」
「うん…あっ、大丈夫、借りるだけだから玄関でおいとましますっ」
「あ……そ?」
「うん、聞いたことないの、聞いてみたいっ」