「あれ?陸斗?」
「わ、本当だ〜!」
イルカショーが終わって会場から出ようとする行列の中で、たまたま隣にいたカップルがこっちを見た。
男子の方は麻生君と仲が良いクラスの人だけど、女子の方は見たことがない人。
「げっ。なんでお前らがここにいんだよ?」
嫌そうに顔をしかめながら、軽くため息を吐く麻生君。
無意識なのか意識してなのかはわからないけど……。
声をかけられた瞬間、すごい勢いでパッと手を離された。
さっきまで心地良かったのに、なんだか今は寂しい気持ちでいっぱいになる。
よっぽどわたしのことを彼女だと思われたくないんだ。
離れた手がそれを教えてくれた。
行動が全部物語ってるよね。