友達に見せるようないつもの笑顔。
まさか、わたしに向けてくれるなんて思ってもいなかった。
目が合うとプイとそらされてしまったけれど、単純なわたしは嬉しくてたまらなかった。
「早く帰んぞ」
「あ……は、はい!」
教科書をササッと拾い上げ、倒れた椅子を元に戻す。
そして、スタスタ教室を出て行った麻生君の背中を必死に追いかけた。
小走りで隣に並び、横顔をそっと盗み見る。
さっきとは違って無表情に戻っていたけど、何となく胸の中は温かかった。
「あああ、あの……!連絡先を教えて頂けませんか……?」
頑張って勇気を振り絞った。
だって、このチャンスを逃すと聞けないかもしれないし。



