「十数年前、アンタ恵一とこの店に来なかったかい? 16歳のブロンド少年をそう言えば一度見たような」
おばさんの言葉に、豚肉を丁寧に並べていたジンさんがにっこりと笑った。
「はい。一度、此処には来たことがあります。その時はくるみのお父さん、恵一さんに全てやって貰って悔しくて。英国でも自分で材料を買って作っていました」
「なんだ。つまらない。来たことあるのか」
ちぇ。
もっとあたふた困らせたかったのに、それは既にうちの親がした後だったようだ。仕方なく私もお好み焼きを作ると、ジンさんは既にひっくり返して完成間近。おばさん達と談笑しながら優雅にお好み焼きを作っている。
ジンさんが16歳で日本に来たって事は私中学生ぐらい? でも会ったことない。こんな人目を惹くジンさんならきっと忘れないし。
「ああ、じゃあ迷子のくるみを助けたあの時の子か」
「なるほどね」
「迷子?」
二人の言葉に首を傾げていたらジンさんに『もう良いですよ』とひっくり返すように促されてしまった。



